<金口木舌>心に時間とゆとりを


社会
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 勝連城跡でローマ帝国などのコインが出土したことが発表されたのは2016年9月26日。沖縄とローマは直線距離で約1万キロ。コインは海上や大陸を巡り、長い年月をかけて沖縄にたどり着いたはず

▼「すべての道はローマに通ず」という言葉があるように、ローマ帝国時代は道路建設が積極的に行われた。主な目的は軍隊の迅速な移動だった。道路は欧州各地に広がり物流を支える役割も担った
▼当時の移動手段は徒歩や馬車。1日に移動できる距離は数十キロ程度だったという。旅人はゆっくりと時間をかけて、目指すべき場所に歩を進めていたのだろう。勝連城跡のコインも、その道路を通ったのかと想像が膨らむ
▼目的地に早く到着したいと考えるのは現代人の特性か。昨年、県内のスピード違反の摘発は1976件。毎日のように違反者が出ている。速度違反は交通三悪の一つになっており、重大な事故につながる危険な行為だ
▼県警は先日、移動式の速度違反自動監視装置を使い取り締まりをした。通学路や生活道路など狭い場所でも速度違反の摘発が可能になる。子どもや高齢者の安全確保が期待される
▼秋の全国交通安全運動が21日に始まった。悲惨な交通事故は後を絶たない。心と時間にゆとりを持つことは事故防止の第一歩にもなる。歩行者を守ることは運転者の責務ということを忘れずにいたい。