<金口木舌>家計直撃


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 先日給油した際、1リットル当たり183円(税込み)だった。目が点になった。値上がりしているのはガソリンだけではない。牛肉、コーヒー豆、大豆、電気料金…。給与は横ばいどころか減る中、生活必需品の値上げは家計に痛い

▼一方、日経平均株価は9月に3万円を超え、31年ぶりの高値を記録。今も3万円台をうかがう水準だ。額に汗して働くより、株に投資する投資家の方が潤っている。格差は広がるばかり
▼沖縄の平均給与は月額22万円という。「それ自体がすでに相対的貧困ラインの23万円より少ない」と、5日に那覇市内であった沖縄SDGsプロジェクトのシンポジウムで報告があった
▼シンポジウムでは「3年以内に1人当たりの月給を平均1万円上げる」という目標が示された。SDGsの持続的な開発目標の一つ「貧困をなくそう」にかなう。施策の後押しと企業側の覚悟も求められる
▼厚生労働省の統計によると平均給与は、上がるどころか1992年をピークに減少している。コロナ対策で18歳以下に10万円相当を給付するのはありがたいが、結局は一時しのぎ。先行きが見通せず貯蓄に回す人も多いだろう
▼衆院選で岸田文雄首相が掲げた「成長と分配の好循環」の具体策は見えない。給油所の店員は心苦しく思ったのか、ティッシュを1箱サービスしてくれた。少し心が和らいだが、懐は寂しいままだ。