<金口木舌>新型コロナと環境破壊


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 新型コロナウイルスが人間社会を襲ってまもなく2年。国立環境研究所の五箇公一室長は「新型コロナは自然界からの逆襲だ」と指摘する

▼全ての地球上の生き物はつながっている。五箇さんによると、人間は森林を破壊し増えすぎて生態系のバランスを崩した。だから生態系は、ウイルスを人間の「天敵」として人口を減らし、元の環境に戻そうとしているのだという
▼自然を汚し生態系への悪影響が懸念される場所が沖縄にもある。世界自然遺産になったやんばる、米軍北部訓練場跡地だ。野鳥がさえずり川音が響くこの場所で、チョウ類研究者の宮城秋乃さんは、銃弾やPCB入りドラム缶など米軍廃棄物を次々に見つけている
▼宮城さんは「汚染された土壌を気付かずに森の生き物たちが食べるかもしれない。その生き物を食べる動物がいる。生態系の中で汚染が連鎖する可能性もある」と懸念する
▼五箇さんは、地球上で人間が生き延びるために、自分さえ良ければ良い「利己」でなく、助け合いの「利他」社会を目指すことと、無駄な廃棄物を出さない地域循環型経済を提唱する
▼助け合いの心でなく「武力」で支配し、訓練で使う空包や有害物質を捨てる米軍。自然共生社会の在り方とはかけ離れている。やんばる、沖縄の生態系をいかに守っていくのか。われわれの命運も、われわれ自身の在り方にかかっている。