<金口木舌>ウイルスと向き合う冷静な知恵を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 アフリカ大陸最南端の岬は?教師の意地悪なクイズにまんまと「喜望峰」と答えてしまった苦い記憶がよみがえる。正解は、そこから約150キロ南東の同じ南アフリカにあるアガラス岬だ

▼喜望峰は、1488年、ポルトガルの航海士によって「発見」され、その後インドへの航路発見を念じてポルトガル王によって名付けられた
▼「大航海時代」を通じて欧州各国は世界中の富を収奪し驚異的な発展を遂げた。一方で急激なグローバル化により、感染症が海を渡り多くの先住民の生命を奪った
▼南アフリカなどで発見、報告された新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染者が、世界各地で確認されている。帆船で行き来していた時代に比べ、圧倒的に狭くなった世界では、ウイルスの広がるスピードも文字通り桁違いに速い
▼各国は渡航制限などの対策を相次いで打ち出したが、長期的にはウイルスは変異と拡大を繰り返す。自由な移動の恩恵と感染拡大のリスクを踏まえ、疲弊せずに感染症と向き合っていく冷静な知恵が求められている。