<金口木舌>「大好き沖縄」


社会
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 子どもたちが話に花を咲かせたのは「8時だョ!全員集合」や「オレたちひょうきん族」。昭和の学校は週明け、テレビの話題で盛り上がった

▼当時の様子を高校生の娘に話すと「うらやましい」とひと言。今はネット上にさまざまな媒体があり、嗜好が分散化されたせいか共通の話題で盛り上がることは少ないという
▼1997年刊行の「大好き沖縄」。詩人で陶芸家の出口富美子さんの個展を訪れた人々からの手紙を基に「双方向で交流できる投稿雑誌を」と創刊した。会員も高齢化し「何度もお見送りした」と話す出口さんを支えるのは、投稿者や読者の手紙だ
▼本紙1月9日付の紙面で「『大好き沖縄』節目80号 今帰仁の『山小屋』拠点」という見出しで出口さんらの近況を紹介すると、匿名の電話があった。「交流の場を守ってくれている。本当に頭が下がる」
▼「沖縄が大好き」との共通の思いが、手作りの雑誌を存続させている。デジタルを含め現代はさまざまな媒体が存在するが、じっくりめくれる喜びは何ものにも代えがたい。