<金口木舌>「しまくとぅば」でつなぐもの


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 沖縄は陸地面積で見ると小規模だが海域を含めると広大だ。東西約千キロ、南北約400キロにもおよぶ。日本地図に当てはめると関東から九州の範囲と同規模となる

▼県内各地の歴史や文化は多彩で独自の「しまくとぅば」もある。本島内でも地域によって言い回しや表現が違う。宮古や八重山、与那国では本島と異なる、特色のあるしまくとぅばが伝わる
▼ユネスコが認定する、日本国内の消滅危機言語八つのうち五つは沖縄のものだ。八重山と与那国の言語は「重大な危険」に位置づけられる。消滅を回避するための施策が急務となる
▼南米チリで先日、現地に伝わるヤーガン語を話す、たった1人の女性が亡くなった。グローバル化や都市化が進む昨今、言語の継承者がいなくなる状況は遠い国の出来事だと言い切れない
▼言語は地域の特性を色濃く映し出す。言語の消滅で、古くから伝わる伝統や文化まで失われる可能性がある。沖縄の魅力を後世まで残すためにも、しまくとぅばの継承は必須だ。普段の生活から使い、親しむことが第一歩になる。