<金口木舌>年度の大みそかに願うこと


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 記事を書く時に暦年と年度の違いに混乱することがある。統計を見てどうにも数字が合わないと思ったら「年」と表記されている部分が年度だった、ということも良くある

▼1月1日から始まる暦年とは違い、特定の区切りの1年間を指す年度はバラエティーに富む。例えば米の取引に関わる米穀年度は11月から翌年の10月まで、砂糖年度は10月から翌年の9月までだ
▼とはいえ、ほとんどの人が思い浮かべるのは4月から始まる会計年度と学校年度だろう。会計年度は明治に制度化され、始まりは10月、1月、7月と変遷した
▼4月開始に決まったのは1884年。国立公文書館によると、赤字削減のために次年度予算の一部を繰り上げ、85年度を3カ月短縮して9カ月間にしたという
▼何とも大胆な話だが、新たな門出が蒸し暑い7月ではなくうりずんの4月になったのはけがの功名と言える。進級・進学、就職や異動など、環境が大きく変わる人も多いだろう。年度の大みそかに当たる今日、新しい1年が良い出会いと笑顔に満ちることを願いたい。