<金口木舌>しまくとぅばを使い、味わう機会を


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 子どもに絵本の読み聞かせをする際、知っているしまくとぅばを交えることがある。その方が、つい感情を入れた読み方になり、子どもたちも笑うことが多い

▼しまくとぅばを知ることは伝統的な文化や芸能、生活習慣を知り、継承することにつながる。一方、しまくとぅばを使える人は年々減る。当方も使いこなせるとは言えない
▼沖縄の言葉で紡がれてきた文学を体系的に整理する取り組みが本格化している。名桜大が12年かけて編集刊行する「琉球文学大系」(全35巻)だ。3月末には第1巻「おもろさうし・上」を発刊した
▼研究者も、しまくとぅばを使える世代が減っている。刊行の背景には沖縄独特のニュアンスも含めて整理できる最後の機会になるとの危機感がある。同様の危機感を克服し言語を復興させた先進例の一つがハワイ語
▼ハワイでは保育園や小中高、大学などで各教科をハワイ語で指導するイマージョン教育で成果を挙げた。言葉に足元の文化が凝縮されているのは世界共通だ。しまくとぅばを使い、味わう機会を増やしたい。