<金口木舌>加害者を守るものは


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 事件の発生から20年たつ。オーストラリア人女性キャサリン・ジェーン・フィッシャーさんが神奈川県で米海軍兵士にレイプ被害を受けたのは2002年4月6日

▼被害を親告することすら勇気の要る時代だったという。刑事事件は不起訴。それにくじけず、民事訴訟を起こし勝訴した。米国でも加害者を特定して訴訟を起こし勝訴した。そのたびにどれほど悩み、決断を重ねてきたか
▼同じ被害を受け、ずっと胸に秘めたまま過ごした沖縄の女性の悔しさに接した。ほかにもいる被害者の「苦しむ」姿が行動の背を押したという。「私は被害者の正義のために戦うことをあきらめませんでした」。岸田文雄首相への手紙に記している
▼行動の成果と言えよう。24時間体制のレイプ・クライシス・センターの創設やレイプ検査のキット設置…。各種の提言は十分とまではいかないが、いかされた
▼事件の核心が手つかずなのがもどかしい。「地位協定が加害者を守っている。改定できないのは日本の恥」。多くの人が共有するジェーンさんのもっともな言葉だ。