<金口木舌>高いのり弁はごめんだ


社会
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 独身時代、月末が近づくとなぜか預金残高が4桁前半まで落ち込むことが多々あった。そんな時、よく作っていたのがのり弁だ。ご飯にのり、しょうゆにかつお節という安価な材料で空腹を満たせる心強い味方だった

▼しかし昨今では不名誉な表現として耳にする機会が増えた。行政への情報公開請求に対し大部分を黒塗りにされた文書が、黒一色に近い見た目からのり弁と呼ばれる
▼入管施設に収容されたスリランカ人女性が死亡した問題では、看守の勤務日誌など約1万5千ページのほとんどが黒塗りで開示された。沖縄でも米軍関連や県の新型コロナ対策などの文書で、個人情報が含まれない部分まで塗りつぶされることがあった
▼総務省のホームページでは、情報公開制度関連の法律を「国民に開かれた行政の実現を図るために重要」と紹介している。残念ながら、真っ黒な文書からその気概は読み取れない
▼安易に黒塗り開示を続けていたら、いつの間にか民主主義が健全に機能しなくなる。そんな高い代償を支払うのり弁は、ごめん被りたい。