<金口木舌>足元にある幸せ


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 2人のきょうだいが幸せの青い鳥を探す童話がある。各地を旅して青い鳥に出会うが連れ帰れない。探し求めた青い鳥は2人の身近な場所にいたのだ

▼ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「沖縄ベイ・ブルース」は「青い鳥が逃げた」と歌う。作曲した宇崎竜童さんは「逃げてばかりいる青い鳥は永田町や霞が関」と説明する。沖縄と向き合わない政府の姿勢は今も昔も変わらない
▼嘉手苅林昌さんは島唄「時代の流れ」で唐の世から大和の世、アメリカ世と移り変わる沖縄を描いた。再び大和の世に戻り、50年の月日が流れた。今の沖縄を見て嘉手苅さんは何と歌うだろう
▼中国や日本、アメリカという大国と向き合いながら、沖縄の人たちはいつの時代も懸命に生きた。外の世界に求めて得た幸せもあるが、手元から逃げたものも多い
▼私たちの足元に目を向けると文化や自然など世界に誇れる財産にあふれている。身近な存在の魅力を見つめ直せば揺るがない沖縄の未来をつくれる。誰もが幸せを感じられる社会は、そこから生まれるはずだ。