<金口木舌>血液のプレゼント


社会
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 「ベビーシャワー」なるものに参加したことがある。安定期に入った妊婦を祝福するパーティーで、たくさんのプレゼントのシャワーを浴びせる。これから生まれてくる赤ちゃんを想像して幸せな気持ちになった

▼同時に長男が産まれたときのことを思い出し、母子の安全を切に願った。妻は12年前、出産予定日の数週間前に大量に出血した。常位胎盤早期剥離だった。発症率1%ほどとされ母子共に危険な状態になる恐れもある
▼駆け込んだ病院の廊下にとめどなく落ちた大量の血の痕が不安をかき立てたが、病院側の説明で「輸血」の言葉が耳に入り、落ち着きを取り戻せた。酸欠状態だったせいか青白かったが長男も無事だった
▼県内の企業や団体、個人が献血に協力しているが、名護ライオンズクラブもその一つ。上原明寿会長は「少しでも地域に貢献できれば」と話す。その善意に救われる人がいる
▼今日は「世界献血者デー」。県赤十字血液センターの献血の呼びかけに協力したい。血液のプレゼントが笑顔をもたらすことを信じて。