<金口木舌>あの時、もし沖縄にいたら


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 毎年6月、慰霊の日が近づくと、学校での平和学習の機会や、メディアの沖縄戦報道が増える。その際、戦争を過去に終わったことや人ごとではなく、今こそ未来の私たちにつながることと捉えて教訓を学ぶ視点が欠かせない

▼絵本作家で染色作家の田島征彦さんが今春、子どもの目線で沖縄戦を描いた絵本「なきむしせいとく」を刊行した。主人公は「なちぶー」(泣き虫)の少年「せいとく」。よく泣いていたという自身の子どもの頃がモデルだ
▼大阪で生まれ、戦争を体験した田島さん。沖縄戦は体験していないが、体験者の証言や読み込んだ手記などを基に正面から沖縄戦を描いた
▼「その時もしも沖縄にいたらということを考え続けてきた」と記す。絵本には子どもたちへ「平和の大切さを願う心を伝える」との深い思いを込めた
▼約4カ月続くロシアのウクライナ侵攻。多くの子どもたちが犠牲になっている。もし、ウクライナの住民だったらどうだろう。想像力を働かせながら戦争が招く取り返しのつかない悲劇や教訓を学び、継承したい。