<金口木舌>エイサー文化守り生まれる場の復活


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 エイサーには少し詳しいつもりでいた。伝統エイサー派の当方は、那覇で偶然見た創作エイサーに「あんなのエイサーじゃない」などと毒づいてみたこともあった

▼考えを改めたのは昨年。終戦わずか11年後に「沖縄全島エイサーまつり」の前身として初開催された全島エイサーコンクールを調べた時だ
▼コンクール出場を機に、各地から集った青年会は衣装や技、隊形、曲などに工夫を凝らし、エイサー文化に大きな影響を与えたそうだ。伝統も常に同じではなく、生まれ変わりながら継承されてきた
▼一方、嘉手納町の千原エイサー、沖縄市の山里、園田エイサー、うるま市の平敷屋、屋慶名エイサーなどは、基地内に消えた集落を含めて戦前や近代の舞を継承し、まつりに華を添えてきた
▼その舞台である「全島エイサー」が今夏、3年ぶりに開催される。コロナ禍で活動休眠に追い込まれた青年会も多く、地域に根付くエイサーの継承が危ぶまれている。久々の「晴れ姿」を目にした若者が胸躍らせ、またエイサー文化の担い手が生まれてほしい。