<金口木舌>猫と共生できるまちへ


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 猫が嫌いだった。小学生の頃に飼っていた愛犬が猫を見つけると激しく追いかけ戦っていたからか、「敵」と認識していた

▼大人になって飼った犬はなぜか近所の猫と仲良くなり、餌を分け合っていた。牙をむいて威嚇するやっかいな小動物という印象は変わり、愛らしい存在になった
▼米国の心理学者ロバート・ザイアンスは論文で「繰り返し接すると好意度や印象が高まる」と指摘した。この「単純接触効果」は周囲の人や動物にも当てはまる
▼だが接触の機会が増えすぎると嫌悪感を感じる人もいるようだ。名護市内で虐待を受けたとみられる猫の死骸が見つかったことを報じると、「猫はふん尿をまき散らして迷惑だ」と匿名の苦情を受けた。「嫌い」は対立や攻撃の動機になり得る
▼名護市で野良猫の保護や、繁殖力の強い猫が増えすぎないよう去勢(TNR)などを実施する「にゃごねっと」が活動資金のためクラウドファンディングを立ち上げた。人も動物も共生する平和なまちは実現できるか。私たちの寛容性は社会に反映される。