<金口木舌>県産本の担い手


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 「全国規模に換算すれば50万部の増刷だ」。ジュンク堂書店那覇店の森本浩平店長の言葉にあらためて驚く。県内の出版関係者らが選ぶ「ゲキ推しの1冊!この沖縄本がスゴい!」を受けた「よくわかる琉球・沖縄史」(沖縄文化社)のことだ

▼実際の増刷部数は5千部。県人口は全国の百分の一だから市場規模を考えれば画期的だ。2年前に受賞した「絵でみる御願365日」は2万部を超えたという。書店で平積みされるロングセラーだ
▼同賞は県産本の良書にあらためて光を当てようと3年前に始まった。県内には書店員が投票で選ぶ「沖縄書店大賞」もある。沖縄の出版文化の活発さを表す
▼沖縄文化社は夫婦二人三脚で営む零細出版社。歴史の入門書など分かりやすい内容と手に取りやすい価格にこだわってきた。徳元英隆編集長は「中高生や世界のウチナーンチュ、観光客にも沖縄の歴史を知ってほしい」と語る
▼書店の沖縄本コーナーに並ぶ多彩な県産本は沖縄文化の豊かさを反映する。その活気の裏には担い手たちの熱い思いがある。