<金口木舌>「沖縄育ち」の次は


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 「アメリカ生まれ、沖縄育ち」のフレーズといえばブルーシールアイス。1948年に具志川市(現うるま市)天願に米国資本で誕生し、当時は米軍向けに供給した

▼山本隆二社長によると、同社のレシピは沖縄での創業から続く特徴がある。動物性油脂ではなく植物性ヤシ油を使っていることだ
▼戦後間もない当時は県内に酪農も定着しておらずヤシ油は役立った。副産物は、高温多湿の沖縄に合ったさっぱりした味わい
▼ブルーシールも近年は困難に直面した。観光客相手に売り上げを伸ばしてきたが、コロナ禍で需要が蒸発。足元を見詰め直し、県民の支持こそが存続基盤だと考えて「地元回帰」に取り組んでいる。先日は読谷村が売り出しているブランドイチゴ「ベリームーン」を使ったカップアイスを商品化した
▼完成品は読谷イチゴの酸味とさっぱりした味わいだった。県民の「風呂上がりアイス」を目指し、売り上げの一部は村のこども基金に寄付する。コロナ禍を経て、地元老舗メーカーが新たなアイデンティティーを再構築してほしい。