<金口木舌>服から見える社会


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 最近、引っ越しをした。移転先へ持って行く物は減らそうと部屋を整理した。長く着ていない服や、数回しか着ていない服もあった。本当に必要か、長く着られるかなど、購入前に考えるべきだったと反省しつつ、リサイクル店へ持ち込んだ

▼環境省によると、国民1人当たりが1年に購入する服は約18枚、手放す服は約12枚。1年間に1回も着ない服が1人当たり25枚もある。廃棄されて焼却・埋め立て処分となる服が毎日、1300トンに上る
▼9月24日付の本紙記事で紹介した首里高校3年生5人は、こうした課題を自分事と受け止め、行動を起こした。校内の生徒同士で服を共有し、貸し借りする「服のシェアリングサービス」を試みる
▼生徒らは服が手元に届く前の段階にも着目した。生産過程で生じるエネルギー使用も環境への負担が大きい。服が格安で購入できるのは低賃金で働く海外の労働者らの存在が背景にあることも学んだ
▼大量生産、大量廃棄の悪循環を改善するため、私たちにできることは何か。身近なことから実践したい。