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「かたつむり いつの間にやら あな遠く」。放浪の詩人・種田山頭火の俳句と一緒に、かわいらしいカタツムリの絵が書かれた書道作品に目を奪われた
▼作風はカジュアルだが、作者は県芸術祭県知事賞や沖展賞の受賞歴もある仲舛由美子さん。ゆっくりした足取りでも、地道に努力を重ねれば遠くに行ける―。苦しい時に勇気をくれそうな作品に親近感を抱いた
▼作品を目にしたのは中部女流書道会の展示会。日展入選歴もある仲本清子会長は「公募展のような細かい規定もないので、自由に書いた作品が集まる。作者の生活感や個性が出る」と紹介する
▼「道」の世界で流派や会派を超えて展示会を開くのはハードルも高そう。だが仲本会長は「中部の自由な気質なんでしょうね。競うものでもなく、楽しく続けている」と笑顔だ
▼お師匠の下で長年研鑽(けんさん)を積み、自身の作風を築く書道はまさに「かたつむり」の世界。自由でオープンな雰囲気の展示会は素人にも学びの入り口になる。気張らず寄り道をしてから進む道を見つけるのもいい。