<金口木舌>産業まつりの帰り道で見つけたもの


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 欲しいものはショッピングサイトで購入。リモート取材にオンライン会議。最近はリアルで顔を合わせなくてもできることが増えた。時間は短縮できるし距離も超えられる。便利だ。でも何かが足りない

▼3年ぶりに「沖縄の産業まつり」が奥武山公園で開かれた。商品について来場者に説明する担当者、袋いっぱいに買い物する人、生ビールをおいしそうに飲む人―とコロナ前の日常が戻ってきたような気がした
▼「人と人、人と商品が出合う場」。産業まつり実行委員会の古波津昇会長はまつりをこう表現する。特産品コンテストで奨励賞を受賞した「きたなか荘弁当」の喜屋武文子さんは「ここでお客さんの顔を見られるから頑張れる」と話す
▼生産者は消費者の声をじかに聞き、商品開発の力にする。消費者は生産者の思いに触れ、商品の本当の魅力を知る。出合いの場で起きていた
▼冒頭の足りないと感じていたもの。それは偶然の出合いと人の思いやエネルギーだ。まつりからの帰り道、商品と出会った人の笑顔を思い出し答えを見つけた。