<金口木舌>有害な侵入物


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 帰宅した女性が空き巣に遭遇。問い詰められた空き巣が、女性の夫を引き合いに「この家には人がたくさんいますよ」と開き直って存在を正当化する。そんな寸劇を米ニュースコメディー番組で見た

▼元ネタがある。米化学大手デュポンの幹部が、製造する有機フッ素化合物PFASが人々の血中に蓄積している影響をインタビューで問われ「私たちの血中にはたくさんの化学物質があります」とはぐらかす場面を皮肉ったものだ
▼デュポンはかつてPFASの有害性を否定していた。だが後に、住民への健康被害に対する多額の損害賠償を裁判所に命じられた
▼県内で市民団体が実施した血中PFAS濃度調査で、全国より高い値が確認された。特に米軍基地周辺の地域で高かった。県は汚染源とされる基地の立ち入り調査を求めているが、米軍は政府が「負担軽減」の目玉としたはずの日米地位協定の環境補足協定の欠陥を逆手に取り、調査を拒んでいる
▼環境協定の名を借りたはぐらかしはもう結構。県民が求めるのは健康な暮らしを守る行動だ。