<金口木舌>渡口万年筆店の娘たち


社会
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 沖縄のまちネタをインターネットで発信しているサイト「DEEokinawa」が興味深い。県民が気になったことがあるであろう、街角の紹介は冒険心をくすぐる

▼2018年8月の特集記事は「戦前から続く沖縄唯一の専門店、渡口万年筆店を訪ねて」。那覇市久茂地にある老舗の店内では、50年以上前の彫刻機が使われていた
▼今年に入って別々の取材で「渡口万年筆店の娘です」という同じ言葉を聞いた。本部町で八重岳ベーカリーを経営する比嘉恵美子さんと、恩納村の日本文化体験施設「笹桐庵(ささぎりあん)」の亭主、桐田宗園さん
▼2人は姉妹だという。50年代に北部の商業の中心だった名護十字路に本店があったという渡口万年筆店で、商売繁盛させた親の背中を見ていたのだろう。洗練された立ち振る舞いで朗らかに客人をもてなす姿は共通している
▼「常に朗らかに働き得るものは最上の幸福者である」―。「渡口商店々訓」の一文に姉妹の姿を重ねる。2代目の渡口彦邦代表が守る創業91年の老舗の精神は今も脈々と受け継がれている。