<金口木舌>人権意識の「時差」なくしたい


社会
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 サッカーワールドカップは熱戦や大番狂わせが相次ぐ。眠れぬ夜が続き、カタールとの6時間の時差がうらめしい

▼緻密な戦術、目を見張るような技術など、どの試合も魅力にあふれている。一方で人権問題への提起も多い
▼カタールの移民労働者や性的少数者の人権問題に対し、欧州の7チームは差別撲滅を訴えようと虹色の腕章を用意した。が、国際サッカー連盟の通達を受けて着用を断念。ドイツ代表は口をふさぐポーズで抗議した。イングランド代表はキックオフ時に片膝立ちし人種差別反対を示している
▼イラン代表はイラン国内で続く抗議デモに連帯し初戦で国歌を歌わなかったが、2戦目は斉唱した。米CNNテレビは、イラン当局が脅迫したと伝えた。強権的な政権に対峙する勇気を押しつぶそうとする権力の恐ろしさを感じる
▼人権意識は歴史や宗教などの影響で国や地域間でも差があるが、個人の幸福の追求という原則に従えばいつか同じ地平に達するまでの「時差」かもしれない。誰もが純粋にサッカーを楽しめる世界が来ると願いたい。