<金口木舌>先人のメッセージ


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 くずし字を一文字ずつ丸で囲み、比較しながら文字を判読する。大学生の頃、近世琉球などに関する古文書を読み解く技術を学ぶ講義を受けた

▼講師の指導に従い、時代背景や前後の文脈も考えながら懸命に解読を試みた。しかし、現代の字とは形が全く違って見える。他の学生と比べても思うように読み解くことはできなかった
▼印刷大手の凸版印刷(東京)は京都市歴史博物館などと協力し、主に江戸時代のくずし字で書かれた古文書を解読できるスマートフォンアプリを開発した。人工知能(AI)を活用している。今月中にも試験版を公開し、3月に一般販売する
▼同社ウェブサイトによると、従来は法人向けにパソコンやタブレット限定で利用できたシステムという。これからは一般の人も、スマホで手軽に利用できる
▼琉球に関連した史料も含め、古文書解読や調査の効率化が期待される。人の力で解読する技術・精度の向上にも役立つだろう。先人のメッセージが込められた古文書を通して歴史への関心や理解を深める契機にもなるはずだ。