<金口木舌>ドラマ「エルピス」と国内2人の専門家


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 映画やドラマのエンドロールを見るのが好きだ。作品の余韻に浸れるのもあるが、それよりもスクリーンや画面には直接映らない多くの裏方の存在を感じることができる

▼昨年12月まで放送されていたフジテレビ系ドラマ「エルピス」では「インティマシーコーディネーター」というあまりなじみのない専門家が起用された
▼性的描写があるシーンを安心して安全に撮影できるよう調整するのが役割。米国発祥の新しいポジションで、米映画界では「#MeToo」を機に起用が進んだ。日本には2人しかいない
▼製作側の思うシーンを言語化し、俳優に伝え調整し、表現の幅を広げるというインティマシーコーディネーターの仕事からは事前に話し合い、同意をとることの重要性が見えてくる。丁寧なコミュニケーションとも言い換えられる
▼これは演劇の世界だけに限らず、私たちの日常もそうだ。話し合いや同意を得るのは時間がかかる。速さや効率性が求められがちだが、丁寧なコミュニケーションの先に誰もが安心して力を発揮できる環境がある。