<金口木舌>沖縄文化の知恵と技


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 橋の上で四輪車から火花が噴き出し、車輪が勢いよく回る。昨秋、国立劇場おきなわの研究公演で復元された琉球王国時代のからくり花火だ。劇場ウェブサイトで22日まで公開している

▼四輪車には、うちわを持つ儒学者が乗り、忙しく働く。琉球に学問を行き渡らせていることを表現した。1866年、尚泰が中国から琉球国王に認められた際、冊封使を歓待し、花火を披露した
▼尚泰王の冊封の際の花火に関する尚家文書「火花方日記」を読み込み、再現につなげた。王府は首里城で昼に組踊や琉舞などを披露し、夜は花火で冊封使をもてなした。演目には中国に根づく儒学を取り入れた。巧みな外交術だ
▼国立劇場おきなわの開場から今日で19年になる。古典だけでなく、創作や地域の芸能など、多彩な公演を続けてきた。劇場の活動を通じて琉球芸能への理解は深まり、裾野も広がった
▼琉球王国の時代から今日まで、世替わりを重ねながら継承されてきた琉球芸能には、先人が築き上げた沖縄文化の知恵と技が詰まっている。学ぶことは多い。