<金口木舌>叱って、褒めて


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ロボットも叱られすぎるといじけてしまうそう。そんな話を偶然聞いた。読谷村立読谷中学校であった、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で脳科学と人工知能を研究する銅谷賢治教授の講演だ
▼例えば自分で立ち上がる行動を学習させるために、ロボットの頭が高くなると褒め、駄目な時は叱る。だが叱りすぎると失敗が怖くて寝たまま動かなくなってしまう
▼期待されると学習や仕事の成果が上がる「ピグマリオン効果」や、その逆の「ゴーレム効果」を思い出す。叱ることや褒めることは、成長に重要な役割を果たす
▼銅谷教授によると、この現象は人間も同じ。大事なのは褒めることと叱ることのバランスという。子育てや学校の児童生徒、職場の若者との接し方など、いろいろと考える人も多いのでは
▼大切な存在に「言わねばならぬ」ことはあるが、叱ることで心を折ったりしては本末転倒。褒めながら能力を後押ししたい。世界の第一線で活躍する科学者の話を聞いた中学生も、未来に向けて背中を押してもらったはずだ。