<金口木舌>吝嗇家と倹約家


社会
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 度を超して金品を惜しむけちな人を「吝嗇(りんしょく)家」という。岸田文雄首相が産休・育休期間中の女性のリスキリング(学び直し)を支援するとの発言に、この国のしみったれた子育て政策を思う

▼経済協力開発機構(OECD)によると2019年の国内総生産に占める教育機関向け公的支出の割合は、日本は2・8%。37カ国のうち下から2番目で、家庭の負担は過大だ。少子化は国の不作為に対する国民の回答に思える
▼学び直しは「本人が希望した場合」の話だと岸田氏は言う。「異次元」の政策が具体化し、子育てを社会が支える仕組みができれば学び直しもいいだろう
▼だが今のところ議論されるのは児童手当の拡充などに過ぎない。子どもが多い世帯ほど所得税負担が軽減される課税制度の導入にも政府は慎重だ。「異次元」とは名ばかり、やる気はあるのか
▼大盤振る舞いの増額を目指す防衛費と落差が際立つ。国民の将来に向け真っ先に国費を投じるべき課題は防衛だけなのか。為政者は吝嗇家ではなく、賢くお金を使う倹約家であるべきだ。