<金口木舌>乗り越えた先に


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 旅立ちの日、どんな思いで学びやを後にするだろう。きょうは県立高校の卒業式。今年の卒業生は2020年4月に入学し、コロナ禍の中で3年間の高校生活を送った

▼修学旅行や体育祭、文化祭など学校行事が幾度、中止や延期を余儀なくされたことか。先輩や仲間と励んだ部活も、力を発揮する場がない時期があり、つらい経験をした
▼感染対策の「三密回避」に行動を縛られた。10代の多感な時期だからこそ、情熱を注ぎたいことがあったはずだ。昨夏の甲子園を制した仙台育英高・須江航監督は「青春って、すごく密なので」と語り、生徒の心情を代弁した
▼やりたいことができず、ため息をついた日もあっただろう。それでも異常事態を乗り越え、少しずつ日常を取り戻す中で得たものもあったのではないか。卒業後に待ち受ける人生の困難に直面した時、高校時代を振り返ってほしい
▼思うようにいかない時も、あきらめずに進む方向を見定めるための糧にできるならば得たものは大きい。羽ばたく卒業生たちに心からエールを送ろう。