<金口木舌>TSUTAYA、そしてHello,Again


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 近所のTSUTAYA(ツタヤ)が今月末で閉店する。学生の頃はここでCDを借りてはダビングし、プレーヤーで聴いた。家の近くにツタヤがあるのは少し自慢だった

▼デジタル配信が主流となり、レンタルCDショップは全国的に姿を消しつつある。日本レコード協会によるとCDの売り上げはこの10年、減り続けている
▼スマホで聴ける便利さに勝るものはないと言い切りたくなるが、それは早合点。アナログレコードの売り上げは底だった2010年と比較すると、22年は25倍と驚異的に伸びている
▼レコード好きの先輩によると音の温かさが魅力という。ホコリがつかないように扱い、針をそっと落とすのもレコードならでは。データではなく実体のある「モノ」として音楽と向き合う良さがそこにある
▼手間をかけるからこそ思い入れが強くなる。多くの曲と出合えるデジタルの良さと、一つの作品にじっくり向き合うアナログの良さは人間関係と似ている。マイリトルラバー「ハローアゲイン」を聴きながら別れと出会いの春に思う。