<金口木舌>ドラマのリアル


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2016年12月13日夜。防衛省担当記者だった筆者は都内の居酒屋でマスコミ関係者と沖縄の話で盛り上がっていた。ふと、テレビを見て酔いが覚めた。オスプレイが名護市安部に墜落。一目散に防衛省に向かった

▼WOWOWで始まった連続ドラマ「フェンス」は沖縄を舞台に雑誌記者らが米兵による性的暴行事件の真相を追う。住宅地上空をオスプレイが飛ぶ描写も
▼ドラマでは敬遠されそうな基地問題や日米地位協定にも切り込む。その不条理さに気づく雑誌記者。その様子は、ドラマのプロデューサーを務めた元記者の姿に重なった
▼NHKエンタープライズの北野拓さん。09年にNHK入り、11年まで沖縄放送局の記者だった。地位協定が捜査の「壁」となった米兵によるひき逃げ死亡事件も共に取材した
▼「絶対に沖縄のドラマを作りたい」。オスプレイが墜落した夜、北野さんは熱く語っていた。何年も構想を練り、沖縄の取材を重ねていた。ドラマはフィクションだが、ちりばめられたメッセージは元記者のリアルな思いに違いない。