<金口木舌>対話型AI、適切な距離保ちたい


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「人事異動の季節が近づいたことを取り上げ、社内異動のメリットやデメリットについて論じています」。物好きな後輩記者が人工知能(AI)による対話型ソフト「チャットGPT」を使い、企業の人事異動をやや辛口で論じた先月30日付の小欄を評してくれた

▼自然な文章と要点を押さえた内容にうなったが、筆者の特権で採点すれば85点というところ。文中に忍ばせた毒気までは通じなかったようだ。機微を余すことなく読み取るにはさらなる進化が必要か
▼オープンAIが開発したソフトは、世界に大きな衝撃をもたらした。活用事例は幅広く、国会答弁作成への活用も検討されている。岸田文雄首相は自らの答弁の方が具体的だと胸を張ったが。将来的には物事の良しあしさえAIが判定する時代が来るかもしれない
▼課題も多い。個人情報保護の観点からイタリアでは利用が一時禁止された。使用者の思考力低下などのリスクも指摘されている
▼ツールは人が使いこなしてこそ。頼りすぎず、さりとて無視もせず。適切な距離を保ちたい。