<金口木舌>やさしい観光地目指して


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 本部町の行楽施設で県外から訪れた親子に出会った。医療的ケアが必要な息子と母親が看護師や作業療法士に支えられ、自然体験を楽しんでいた

▼県は2007年に「観光バリアフリー宣言」を発表し、案内所の設置やウェブサイトの立ち上げなど、施策を推進する。賛同する宿泊施設は増加傾向にある
▼親子1組の旅のために支援者は手を尽くす。緊急時の病院の手配や必要な機材の確保。年齢で大きさが異なる車いすが部屋に入るかという確認も怠らない。支援者とホテルの綿密な打ち合わせで旅は実現した
▼支援者の一人で、NPO法人「Toi Toi」の比嘉珠美代表は「宿泊施設側も不安を持っている。細かい部分を打ち合わせることが必要」と語る。「福祉の目」から見た課題を、施設側と共有する橋渡し役が求められる
▼母親は「支えてくれる人がいなかったら、旅行をためらった」と語った。宣言でうたう「誰もが楽しめる、やさしい観光地」づくりを旅の現場で実践する支援者たち。課題を見つめながら、観光客の笑顔を支えている。