<金口木舌>記憶をつなぐ写真の力


社会
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 東村慶佐次区の学事奨励会の行事は「慶佐次健児のうた」が必ず歌われる。「育ちし里は小さいけれど/我等が未来は洋々と/やがてはとばん五大州」

▼慶佐次出身で、かつて名護市にあった名護英語学校の校長を務めた故宮城盛吉さんが作詞した。歌詞の一節は、地域の子どもたちが、世界へはばたいてほしい、との願いが込められている
▼このほど発刊された慶佐次区字誌写真編も次世代に向け、地域の歩みをつなぐことがテーマだ。掲載された記念写真は宴会や旅行、地域行事などさまざま。机に並ぶ瓶はビールやウイスキーが中心。若者も泡盛を愛飲する前の世相をうかがわせる
▼「写真は記録であり、記憶を呼び起こすものだ」。写真に特化した字誌の発刊を想像し、30年前から取り組んだ編集委員長の山城定雄さんは「写真の力」をこう力説する
▼1990年代後半ごろまで、行事の写真に多くの若者も写っていた。里を離れ、遠くで暮らす人も多いだろう。字誌を手に取り、親類や友人の姿を懐かしむ姿が、浮かんでくる。