<金口木舌>欲しいのは「傘」じゃない


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 井上陽水さんの代表曲「傘がない」。歌詞では社会問題や空から落ちる雨に目を向け「傘がない」「君に会いに行かなくちゃ」とつづる。陽水さんはどんな思いを込めたのか

▼今日は暦の上で梅雨入りするとされる「入梅」。日本洋傘振興協議会は、6月11日を「傘の日」と定める。沖縄を含め全国各地ですでに梅雨入りし、傘が手放せない季節になった
▼ウェザーニュースの調査によると「弱い雨でも傘を差す」という人は東京の73%に対し沖縄は48%。沖縄の人はあまり傘を差さないと言われる。少しなら雨にぬれても平気と割り切っているようだ
▼沖縄の空から降るのは雨だけではない。米軍機の騒音や部品、時には機体そのものまで。県民は被害から逃れられず「傘がない」状態だ。日米の責任者に会いに行き改善を求めても状況は変わらない
▼基地被害に苦しむ県民に必要なのは、その場しのぎの「傘」ではない。どんな時でも安心して過ごせる平穏な日常だ。空から降り注ぐ被害におびえて「傘がない」と嘆く日々は終わりにしたい。