<金口木舌>ポートサイドからかつてのにぎわいを


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 船の左舷側は海事用語で「ポートサイド(港側)」と呼ばれる。昔はかじを船尾の中央に取り付ける技術がなく、右舷側にあった。その慣習から左舷側を接岸させる船が今も多いとされる

▼6月26日にクルーズ船が1年ぶりに寄港した本部港。入港した「にっぽん丸」は向きを変え、左舷側から本部港に接岸した。横断幕を持った町関係者と乗客が互いに手を振り合う和やかな光景もあった
▼温かな歓迎の一方で、官民共同による本部港のターミナル整備計画はコロナ禍を経て大幅に遅れている。屋根がなく、重機が行き交う港湾内に、乗客が予約したレンタカーが並んでいた
▼年内に本部港へ接岸を予定しているクルーズ船は2隻にとどまり、那覇港と大きな開きがある。船会社に本部港に寄港してもらうためのインフラ整備が必要だ
▼1975年の海洋博に合わせて整備された本部港(本部地区)はホーバークラフトや定期船の利用者が集まった。港にかつてのにぎわいが戻ってほしい。ポートサイドの船窓から見える景色が変わる日を町は待っている。