<金口木舌>守るために生み出す


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 新人の頃はよく飲み会で泡盛をつぐ「酒座」を命じられた。だが世相も変わり、酒座を目にする機会は減った

▼代わりに居酒屋で定着したのは「飲み放題」。全員が好きに酒を楽しめるのはいいが、泡盛業界には頭痛の種。ハイボールなどと競合が激しくなった
▼沖縄最古の酒造所である新里酒造が、麦芽から製造した初のウイスキーを発売した。価格は1本1万円するが、5千本全ての予約が2週間弱で埋まった。ウイスキー市場は拡大中だ
▼温暖な地での製造はアルコールが早く揮散してしまうが、香りが付くのも早い。力強く甘い香りに「沖縄のウイスキーですよ」と笑う新里建二社長。だが「老舗の看板だけでは生き残れない」と、泡盛に次ぐ2本目の柱を立てた苦渋の決断でもあった。今後も主力商品は泡盛という
▼復帰から続く酒税軽減措置も段階的廃止が決まり、業界は勝負どころ。各酒造所がブランド化や新商品の開発に知恵を絞っている。ところで古酒と県産ウイスキーをブレンドしたらどんな味だろう。想像するのも楽しい。