<金口木舌>振る舞い確かめては


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 沖縄での生活は15年以上になるが、いまだに少し気後れする。結婚披露宴の終盤、新郎新婦を囲んでのカチャーシーだ。満面に笑みを浮かべて舞う周囲を見ながら、自分の動きを気にしている

▼男性は拳を握り、女性は手のひらを開くとされることが多いが、周りの男性も握り拳は少数。それを見て、そっと手を開くことも
▼玉城デニー知事が訪中した際、北京県人会との会食でカチャーシーを披露したことが話題となった。手のひらを開いた踊りに「その手は女性」という指摘もあった。知事は後日の会見で「カチャーシーはフリースタイル」と持論を説いた
▼手を握るか開くかは個人の好みだろう。しかし、中国政府の要人の前で玉城知事が踊ったというストーリーを作り上げ、「売国の舞」などと誹謗(ひぼう)中傷するのは見過ごせない
▼尖閣問題を取り上げなかったことなどで、知事の訪中を批判する意見がある。ただ、ろくに確認もせずに中傷するのはいただけない。筋違いの怒りで拳を握りしめる前に、そっと自らの振る舞いを確かめてみてはどうか。