<金口木舌>銀天街でサイエンス


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 液体窒素でカチコチに固めたバナナ。「定番」だが、やはりやってみたいのは、これ。「バナナでくぎを打つ」

▼沖縄市の銀天街で今春にオープンしたサイエンスカフェ「りっかRIKA」のイベントで子どもたちが実体験した。しまくとぅばの「りっか」は英語で「レッツ」か。理科の楽しさを知ってほしいと願いを込めた
▼代表の島田誠さんは銀天街の近くで育った。地元出身の彼はストレートに言う。ここは市内でも生活困窮世帯の割合が比較的高い。だからイベントの参加費を数百円に抑えることにこだわりたい。「家庭の収入差で参加できないことは避けたい」という
▼琉球大と九州大で物理学を学んだ後、東京の出版社で大学の理工書の編集者をしていた。築いた人脈で各分野の第一人者たちも共鳴し、手弁当で講師を務めている
▼大学院生時代に参加した子ども向け理科イベントのボランティアで、子どもの目の輝きを見て「これだ」と決めた島田さん。計画を温め43歳で故郷に城を構えた。未来の科学者が銀天街から羽ばたくのを夢見て。