<金口木舌>肝高の子たちへの拍手


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 勝連の地はかつて「枯れかっちん」と呼ばれ、痩せた土地で農業にも苦労した。だが古謡集おもろさうしは勝連城を「玉も黄金も集まる宝の城」と表現した

▼黄金の地を築いたのは10代目城主の阿麻和利。勝連半島の地の利を生かし、交易で繁栄させた。クモの巣を見て漁網を考案した逸話もある
▼阿麻和利は首里王府に謀反を働き倒されたとされるが、地元では民の暮らしを良くした英雄として語り継がれる。本能寺の変を起こした明智光秀も、丹波国の治水や減税で住民に親しまれた
▼現代版組踊「肝高の阿麻和利」は2000年の初演以来、県内外、国外の公演で20万人超の観客動員を誇る。8月の東京公演では終演後も拍手が鳴りやまなかった。民を守り、勝連を豊かにした阿麻和利の精神を受け継ぎ、力強く演じたうるま市の肝高き子どもたちへの賛辞であろう
▼故郷の偉人を知ることは、誇りや自己肯定感につながる。そして逆境に立った時、沖縄の先人はどう未来を切り開いてきたのか、哲学を学ぶ礎にもなる。足元を見詰め、未来を描こう。