<金口木舌>「逃げる」ことに寛容な社会に


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 今夏の甲子園大会から、水分補給や体を冷やすためのクーリングタイムが導入された。大会中は休養日を設け選手の保護を重視した。苦境の中で戦うことが美談になる時代ではなくなった

▼気象庁によると、今夏の平均気温は統計開始以降で最も高くなった。熱中症の危険性が高まり、冷房の使用などが推奨される。暑さを我慢せずに自分の体を守ることが重要だ
▼ドラマのタイトルでも知られる「逃げるは恥だが役に立つ」はハンガリーのことわざ。退避が将来的にプラスになったり、時には命を守ったりする。本当に苦しければ無理して立ち向かわなくてもいい
▼NPO法人「全国不登校新聞社」などは、子どもの様子から学校を休ませた方がいいか判断できるチェックリストを作った。夏休み明けは不登校が増加傾向にある。子どもの状況にしっかり目を向けたい
▼県内でも夏休みが終わり、子どもたちの声が学校に響く。その中に元気のない子はいないか。我慢せず休むという選択肢も必要だ。社会も「逃げる」ことに寛容であってほしい。