<金口木舌>ロスをプラスに


<金口木舌>ロスをプラスに
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

島豆腐にゆし豆腐。沖縄の食生活で豆腐は身近な存在だ。ただ豆腐を作る過程で出るおからが大きな課題になっているとは知らなかった。食べられるのに使い道がなく、大量に捨てられる。食品ロスの一つだ

▼この問題に菓子メーカーのナンポーが向き合った。きっかけは、2人の大学生がおからを使った可食スプーンを開発したことを紹介した本紙記事。問題解決に挑む姿に刺激を受け、ビスケットを考案した
▼全国でも、おからは飼料や肥料に回り、食品利用は1%以下。5~9%は産業廃棄物になるそうだ。島豆腐で出るおからの量も膨大で、廃棄費用は数億円に上る
▼やるからには本腰を入れる。県内消費だけでは使用量は増えない。全国に広げる価値を見いだすため、着目したのがタンパク質。健康志向の高まりに合わせたアイデアで商品開発が進んだ
▼商品名は「たすと おからビスケット」。栄養素を足し算するという意味と共に、大学生の思いをその名に込めた。ロスをプラスに変えるビスケット。問題解決の道筋にもなっている。