<金口木舌>基地跡地に広がる公園


<金口木舌>基地跡地に広がる公園
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 所用で東京を訪ねるたび、時間をつくって立川市の国営昭和記念公園に足を運ぶ。4月初めに訪れた際は桜や菜の花、チューリップが咲き、春の色にあふれていた。おとぎ話の夢の国のよう

▼都民の憩いの場であるこの公園は昭和天皇の在位50年を記念して1983年に整備された。総面積180ヘクタールの広大な敷地は米軍立川飛行場の跡地であり、基地拡張に反対する「砂川闘争」の舞台にもなった
▼反対闘争の最中、7人が刑事特別法違反で起訴されたが東京地裁は59年、米軍駐留を違憲とし、無罪を言い渡す。世に言う「伊達判決」は最高裁で覆されたが、68年に拡張は断念され、その後、基地は返還された
▼もうすぐ沖縄の本土復帰から52年の日を迎える。県民の土地を奪って造られた米軍基地は今も居座り続ける。沖縄の基地負担は固定化され、辺野古の新基地建設も進む
▼美しい公園の風景を思い出し、想像してみる。県内の基地が撤去された土地に、子どもたちが駆け巡り、亜熱帯の草花が生い茂る広大な公園を。おとぎ話で終わらせたくない。