<金口木舌>新しい怪物の顔


<金口木舌>新しい怪物の顔
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

アニメ「エヴァンゲリオン」が描く送電鉄塔はとても印象的だ。世には鉄塔マニアがいるという。本島中部にいると、あちこちで個性的な鉄塔や電柱と出くわす

▼「アニメ聖地」巡礼者にとって、この地は聖地の条件を満たしているかも。工業的構造物でありながら立ち姿はなぜか有機的で郷愁すら漂う。沖縄電力は鉄塔カードを販売した

▼マニアはどう思うか。滑走路から約2・2キロの範囲内にある構造物は高くても標高55メートルほど―との米軍の基準を満たすため、政府は新基地建設が進む名護市辺野古周辺の鉄塔を地中化する。経費は56億円

▼別の場所では不気味な怪物が降り立った。米軍嘉手納基地への武装・非武装の無人機配備が止まらない。既に滞在するリーパー(死神)8機に加え、ギリシャ神話で深淵(しんえん)からの使者を意味するトライトン2機がやって来る

▼ロシアとウクライナの争いのように、攻撃型無人機は戦争の形を変えた。復帰52年、戦後79年を迎えた沖縄で、県民の心の聖地をかき乱す新たな戦争が顔をのぞかせている。見逃すまい。