<金口木舌>平等への「夢」

 「私には夢がある」。1963年、米公民権運動の黒人指導者キング牧師の有名な演説である。「いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である」

▼翌年、米連邦議会は公立学校・施設など公共の場における人種分離を禁ずる公民権法を承認した。「人間は全て平等」という理念は、多大な犠牲や訴えの基に人類が覚醒した尊い英知である
▼その実現に苦心してきた米国で、大統領が理念を否定する態度を示したのだから、事態は深刻だ。白人至上主義を助長するようなトランプ氏の発言に批判がやまない
▼事態はよそ事ではない。日本政府は、拉致問題の進展がないことなどを理由に、高校の授業料無償化制度から朝鮮学校を除外している。朝鮮学校の生徒らは全国5カ所で国を訴え、広島地裁で敗訴、大阪地裁で勝訴した
▼「少数者を排除するような偏狭で不寛容な考え方が政治の世界にあった」。制度の担当官だった前川喜平前文科事務次官はこう証言する。大人の政治対立に生徒を巻き込み、制度から“分離”した状態が続いている
▼この国は「子どもたちが人格そのものによって評価される国」だろうか。そんな「夢」をどれだけの国民が追っているのか。ヘイト(憎悪)や排外主義が広がっている日本でも、キング氏の言葉は重く響く。



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