<金口木舌>母子世帯施策の制度変更


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 「ワンオペ育児」とは、夫が多忙などの事情で、妻が1人で家事や育児を担うことを意味する。深夜営業の飲食店やコンビニで、1人勤務体制で働く「ワンオペレーション」が語源だ

▼夫婦でさえ「ワンオペ育児」が課題となるのに、ましてや母子世帯は察するに余りある。母子世帯と一口に言っても、未婚で一人親になった人と、離婚や死別を経て一人親になった人とでは税制上、未婚の方が不利益を受けている
▼離婚・死別の母子世帯には適用される「寡婦控除」が、未婚の世帯には適用されない。税金をはじめ公営住宅の家賃などあらゆる面で、控除がなく負担が重くなっている
▼厚生労働省はようやくこの格差を是正するため、施行令を改正し2018年度中に保育料など一部の施設の入所負担金を軽減する。未婚世帯にも寡婦控除を適用することが理想だが、改正は一歩前進と言える
▼シングルマザーにもう一つ朗報があった。現在4カ月に一度の児童扶養手当について、厚労省は2カ月ごとに支給する方針を示した。年3回の「まとめ支給」は、家計の管理がしづらい面があった
▼関東地方で13年に母子世帯の心中事件があった。家賃を滞納し強制退去の日に事件が起こった。児童扶養手当のまとめ支給にも遠因があったとされる。一人親世帯が多い沖縄。寡婦控除の適用や、手当の毎月支給の課題は人ごとではない。