<金口木舌>銀幕で楽しむ映画


この記事を書いた人 琉球新報社

 「いやぁー映画って、本当にいいものですね」。映画評論家の水野晴郎さん(故人)は、テレビ番組の解説を決まってこう締めくくった。その楽しげな語り口を覚えている人も多いだろう

▼かつて名護市にも映画館があり、地域で親しまれた。北部で唯一残っていた「名護シアター」が閉館したのは2005年。当時の紙面は「また消える銀幕の灯」「名画座の灯消える」などの見出しで、惜しまれつつ姿を消したことを報じている
▼最終日は沖縄がロケ地の「海流」(1959年公開)が上映された。最後に拍手が起こり「また来たかったのに」と残念がる声があったと記事は伝えている。その後もさまざまな自主上映会が市内で開かれてきた
▼名護市に映画館を復活させようと最近、地域の映画好きたちが有志の会「やんばるシネマ」を発足させた。名桜大学で開いた第1回上映会には約250人が訪れた
▼観客からは「名護にもう一度映画館を造ってほしい」と期待する声も上がった。レンタルやインターネットで好きな時に自由に作品が見られる時代だが、没入感では大スクリーンにかなわない
▼恋愛、冒険、喜劇…。ぎゅっと詰まった多彩な物語が、人々を引き付けるのは当然だ。休みの日には映画館に足を運び、銀幕の世界に浸ってみてはいかがだろうか。「映画って本当にいい」をかみしめて。