<金口木舌>共同参画社会の実現は


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 興奮と共に閉幕した全島エイサーまつりで、女性の地謡(じかた)が活躍した。太鼓は男性が担ってきたが、団体によっては女性が務めるところも出てきたようだ

▼17年前、建築技術者の女性を取材した。男性に負けないという気概を聞こうとしたら「意識していない」と言う。先輩に追い付き、後輩を引っ張ることが目標とのこと。性差にとらわれているのは記者の方だった
▼この記事を出したあと「女性の現場監督がニュースにならない社会の実現を」と思慮の浅い記者コラムを書いた。男女共同参画社会基本法の施行は、その前年の1999年だった
▼「女性ながら」「障がいがあるにもかかわらず」といった表現を紙面で見ることがある。高い所にいて書いている感覚を受けると言ったら、同僚から「それが記事になること自体、まだ社会に壁がある証拠」と返された
▼「女がいくじ、男がしごと、もうこんなよの中は時代おくれだ」(桑江中・濱里桃榎さん)。北谷町標語コンクールの優秀作だ。こうした世代が社会を担う頃、性別に関係なく誰もが活躍できる社会になってほしい
▼そのためにも伝統や慣習と折り合いを付けながら、壁は少しずつ取り払っていかねばならない。いずれは「女性というだけで取り上げた記事があった」と昔話が語られるようになるといい。