<金口木舌>子どもの命は平等


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 15年前、県庁前広場で開かれた集会の熱気を時折思い出す。認可外保育施設への公的補助の拡充と認可化促進を訴え、約100の認可外保育施設の園長や職員、保護者、園児が参加した

▼きっかけは、法改正による認可外の届け出制実施だった。保育の質の向上が目的だったが「公的補助が少ない中で行政指導だけ強化されては、運営が立ちゆかなくなる」と不安の声が噴出した
▼戦後、児童福祉法の適用が本土よりも遅れた沖縄。認可施設の整備が遅れ、それを補うように認可外ができ、保育を支えてきた。現在も子育てを支援し待機児童の受け皿を担うが、公的補助は認可施設の10分の1以下だ
▼補助の差は、食や職員の人数、待遇などに現れる。認可外の園長は、補助が増えれば「給食のおかずを増やせる」「保育士にボーナスをあげられる」と漏らす
▼15年前に比べ認可化は進んだ。だがまだ足りないため、親がフルタイムで働いているなど基準を満たしているから入園できるとは限らない。預けることができた施設によって、保育の質に差が出ている
▼認可外は、補助の差を職員の熱意で補う。「『保育園落ちた、沖縄死ね』とならないのは、やりきれない親の思いを認可外が受け止めてきたからだ」と県認可外保育施設連絡協議会の末広尚希会長は訴える。子どもの命は平等。保育の平等の実現は急務だ。