<金口木舌>スポーツと人種差別


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 中学生、高校生、そして53歳の元日本代表と幅広い世代の沖縄代表を紹介した「えひめ国体特集」(本紙27日付)。少年、成年に分かれて日本一の座を競う大会にふさわしい顔ぶれがそろった

▼大会には五輪など世界を狙う選手も参加する。規模は違えど、都道府県の看板を背負うだけに、真剣勝負は会場を熱くさせる。30日に開幕、県勢は終了した水泳を除き28競技で、努力の成果をぶつける
▼国体改革として朝鮮学校の生徒や日系ブラジル人ら永住資格を持つ在日外国人に門戸が開放されたのは、2006年の兵庫国体から。それまでは早実のエースだった王貞治氏のように、全国級の選手も国籍条項が壁になった
▼08年の大分国体のボクシングで、在日外国人2人が初の国体王者となった。国籍の壁を超えて刻まれた歴史の一こまは、多くの人たちにスポーツの魅力を再認識させたことだろう
▼米プロスポーツ界は今、トランプ大統領への抗議の輪が広がっている。プロフットボールの試合で人種差別へ抵抗するために国家斉唱の際、片膝をついたまま起立しなかった選手を大統領が非難したことがきっかけだ
▼抗議は大リーグやプロバスケットNBAなどにも波及。選手だけでなく監督やオーナーらも「世界の恥だ」と差別的発言に抗議した。生きる勇気、感動を届けるスポーツ界から上がる人種差別ノーの声が心強い。